グレツキ・交響曲3番/アップショウ(sop)/ジンマン/ロンドン・シンフォニエッタ(Elektra Nonesuch 7559-79282-2)

弥生メンバーから借りたままになっているもの。「悲歌のシンフォニー」。ずいぶん話題になったCDらしいが,話題盤にあまり縁がないので,借りでもしないと聴かないのだ。
1楽章が開始するとずっと同種の旋律(カノンらしい)が続くが,なるほど「癒し」というのはうなずける。ベースは15世紀の哀歌らしいが,ある種映画音楽のような雰囲気の音の重なりは心を刺激せず,徐々に色を変えながら乱れた心の澱を深く沈殿させる効果を持つように思う。中間部にソプラノが入るが,歌唱がちょっと薄い感じ。ほかの盤を聴いたことがないのでわからないが,もう少し厚みのある声のほうが似合う気がする。歌が最高に盛り上がるとまた元の旋律に戻り,徐々に沈静化する。楽章の形をほぼ対称にしたということか。
2楽章はこれまた映画音楽風に始まる。まもなくソプラノを伴って現れる聖歌風の旋律の一部はチャイコフスキー第5の2楽章冒頭に酷似している。ということは,やはり聖歌を意識したものなのだろうと推測するが,私は勉強不足なのでよくわからないのだ。後半は冒頭の旋律がソプラノを伴って現れ,今度はこの雰囲気を保ちつつ進む。最初のほうは1楽章と同様厚めの声が欲しい気がするが,こちらはこの多少薄めの声が似合っているように思う。
3楽章は終始漂泊するような弦楽器の伴奏に乗せてソプラノが歌う。こちらのベースは民謡らしいが,最初の旋律と中間部の旋律が若干雰囲気を異にする。最初は祈りというイメージ,中間部は多少光が射した感じ。最後はまた最初の旋律に戻り,弦楽器が動きを緩慢にして漂着するように曲を閉じる。
心が弱っているときはこういうのが良いだろうと思ってkaorina。に勧めてみたところ,気に入ったらしい。同じような精神状態の人は聴いてみるのもいいかも。
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