January 03, 2007

ベートーヴェン後期弦楽四重奏曲演奏会

ベートーヴェン弦楽四重奏曲後期全6曲演奏会
ルートヴィヒ弦楽四重奏団(op.127,130,133),古典四重奏団(op,131,132,135)
2006/12/31(日) 15:00開演 東京文化会館小ホール
Beethoven

大晦日の東京文化会館に至高の曲集を聴きに行く。隣の大ホールでは交響曲全曲演奏会をやっていたが,室内楽好きとしては(本当はそうでなくても^^;)こちらを選ばない手はないだろう。

●op.127(12番)
●op.130(13番)
●op.133(大フーガ)
ルートヴィヒ弦楽四重奏団
op.127,133:ステージに向かって左からVn1長原幸太,Vn2小森谷巧,Vc山本祐ノ介,Va店村眞積(敬称略)
op.130:ステージに向かって左からVn1小森谷巧,Vn2長原幸太,Vc山本祐ノ介,Va店村眞積(敬称略)

前半は国内著名オケの主席を揃えた,この演奏会のための(おそらく)急ごしらえの団体。それぞれが優れたプレイヤーなのだが,弾いて合わせるのに目一杯な感じで,明らかに準備不足に思えた。テクニックや勢いは申し分ないのだが,後半と比較してしまうと散漫さが目立ち,弦楽四重奏としての魅力は半減していたように思う。特に大フーガでは途中何度もメチャクチャになったりして,私としては終演後の拍手がためらわれた。おそらくほとんど合わせる時間はなかったのだろうが,このプログラムはハードなので,それなりにまとめてきただけでもさすがだといえるだろう。
音としてはop.130の小森谷氏が1stの配置が良かった。長原氏の少し荒めで強い音が内声に入った方が,小森谷氏の音色とのバランスが良く,全体としての響きが良くなっていたと思う。チェロとヴィオラはもう少し鳴っても良かったように思うが,私の席のせいかもしれない。

●op.131(14番)
●op.132(15番)
●op.135(16番)
古典四重奏団
ステージに向かって左からVn1川原千真,Vc田崎瑞博,Va三輪真樹,Vn2花崎淳生(敬称略)

後半は日本の代表的な弦楽四重奏団である古典四重奏団の演奏。私は実演を聴くのは三度目だが,今回はこちらが目当てだった。Vnの対向配置,全曲暗譜演奏,など,他とは一線を画す団体。開演前から前半よりステージを下げたりと,音づくりへのこだわりが見える。
op.131が開始して4本すべての音が鳴ったとき,その音色と音楽の統一感,集中力により,会場が一気に引き込まれ,空気が変わった。上手く言えないが音が一つなのだ。各奏者の上方の一点に音の源があり,そこから音が鳴っているような状態。これこそ弦楽四重奏!音楽の流れも不自然に滞ったりすることなく,演奏上の問題で安全運転に流れることなど決してない,常に驚異的な集中力で曲の真の姿を現すような演奏はさすがだ。
op.132の3楽章,ほぼノンヴィブラートでのコラールは,その音程の確かさと完璧なバランスにより,ただ4本の楽器が鳴っているとは思えないほどの豊かな響きを作り出していた。奏される音と発生する倍音のどちらともが最も効果的にミックスされ,ホール内を満たすというのはまさに奇跡的だった。
op.135の最後のピツィカート,死を目前にしたベートーヴェンがどうしてこんな音楽を書いたのか,まさに奇跡的(こればっかり^^;)な響きなのだが,この場面をすばらしく実現した演奏だった。終演後のブラヴォーと大拍手,立ち上がる人もあり,いかに素晴らしい演奏であったか自ずからわかる光景だった。
どの曲も驚異的な完成度であり,こんな体験はめったにできるものではないと思うが,けっこう空席が目立っていたのは日本ではまだまだ室内楽はあまり人気がないということだろう。なんとももったいない。

余談だが,今回私の隣に座った私と同年代の人物はどうにも妙な男だった。後半はほとんど拍手もせず,さんざん「この曲も前半の団体で聴きたかった」とか,古典四重奏団について「こんな団体が日本を代表する弦楽四重奏団なんて言われると困る。恥ずかしい」とか連れの女に言っているのだ。どういう感性をしているのだろう?と疑問に思っていたが,極めつけにop.135終演後には「こんな団体でもこれだけ聴かせられるんだから曲がいいんだ」などと宣った。うむ,こいつは曲を知らないに違いない。この曲をまともに聴かせられる演奏ができる団体がどれだけいるというのか。それほどにこの曲は難しい。弾いたことがあって言っているなら大したものだが,もしそうだとしてもとても言えないだろう。少なくとも私はとりあえず弾いたがまともに曲にできなかった(当たり前だ)。会話の内容を聞いているとアマオケをやっている風だったが,こういう知ったかぶった輩が困ったことを言い出したりするものだ。まあ,私には関係ないことだが。

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February 23, 2006

バッハ・コレギウム・ジャパン定期演奏会

BCJの演奏会を聴きに行く。今回は6番以外は聴いたことのない曲だったので,出会いの喜びとでもいうところか。

バッハ・コレギウム・ジャパン第71回定期演奏会
2006年2月22日(水)19:00
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル
ライプツィヒ時代1725年のカンタータ4
・バッハ おお神の子羊,けがれなき BWV656
・バッハ カンタータ42番「その同じ安息日の夕方」
・バッハ カンタータ108番「私が去り行くのは,あなた方の益となる」
・バッハ カンタータ6番「留まってください,私たちと共に」
・バッハ カンタータ103番「おまえたちは,泣き喚く」
鈴木雅明(指揮)
野々下由香里(ソプラノ)
ロビン・ブレイズ(カウンターテナー)
ジェイムズ・ギルクリスト(テノール)
ドミニク・ヴェルナー(バス)
今井奈緒子(オルガン)
ダン・ラウリン(ソプラニーノ・リコーダー)
ディミトリー・バディアロフ(ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ)
バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱&管弦楽)

最初はオルガンコラール。このジャンルはあまり聴かないので,ソプラノ(声楽の)が歌うのは初めて聴いた。コラール旋律がペダルに移って最終音がオルゲルプンクトとなり,上声部が技巧的な展開の後圧倒的な響きを持って曲を閉じるのはすばらしい。
カンタータ42番。私としては第1曲のシンフォニアと,第6曲のバスのアリア(Vn2本+通奏低音)が印象的。どうしても最初のイメージは器楽の躍動感とかに目がいってしまう。やはりカンタータは名曲の宝庫だ。
カンタータ108番。第4曲に合唱のフーガが入るが,中間にこのようなすばらしいフーガが置かれるのは珍しいと思う。フーガ最高。
カンタータ6番。第3曲のソプラノのコラールは,通常チェロ・ピッコロが伴奏する(今日の通勤CDの記事)。今回は,これをヴィオロンチェロ・ダ・スパラで演奏。なんと小型の5弦チェロをヴァイオリンのように肩にあてて水平に構えて弾くというもの。今までCDを聴いていて,この伴奏の音色や動きがなんとも不思議だと思っていたが,その一つの答えとしてのヴィオロンチェロ・ダ・スパラという楽器が,なるほど,と思わせるものだった。ヴィオラのような,チェロのような,どちらでもないような,そんなどことなく無理のある音色と,そのわりに機敏な音の動きはチェロ・ピッコロももちろん適役なのだろうが,この楽器のほうがより説得力があるような気がした。
カンタータ103番。冒頭合唱ではソプラニーノ・リコーダーの硬質な音色が,合唱と他の器楽の中から突き抜けてくる,とても珍しい響き。第5曲のテノールのアリアではトランペットが登場,「立ち直れ」というテキストを強調しているようだ。

今回もソリスト,合唱共にすばらしかった。テノールとバスのソリストは初めて聴いたが,少し重め(というより声の速さが遅め?)の声質に感じた。私はもう少し速めの声で明るめに聞こえる方が好みなのだが,しっかり響いていて説得力があったと思う。カウンターテナーのロビン・ブレイズは相変わらず驚異的。もちろん器楽も大満足。バッハ演奏のスペシャリストともいうべきメンバーなのだから当たり前なのだが。

やはりバッハのカンタータはいい。バッハがあるから生きていける,といつも思っているが,CDで聴くよりも生演奏で聴くのは最上の贅沢だ。次回はマタイ初稿。楽しみ楽しみ。

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December 11, 2005

BCJのロ短調

バッハ・コレギウム・ジャパンのロ短調を聴きに行く。生のロ短調を聴くのは約9年ぶり(前回は1997/1/30東京芸術劇場でペーター・シュライアー/ドレスデン聖十字架合唱団)。

バッハ・コレギウム・ジャパン J.S.バッハ:ミサ曲ロ短調
2005年12月11日(日)15:00
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル
鈴木雅明(指揮)
野々下由香里(ソプラノI)
藤崎美苗(ソプラノII)
インゲボルク・ダンツ(アルト)
ゲルト・テュルク(テノール)
ペーター・コーイ(バス)
バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱&管弦楽)

前半,キリエはゆったりしたテンポで開始。響きの充実を意図したものだと思うが,予想より遅めだったのでちょっと意外だった。グロリアやクム・サンクト・スピリトゥなどは,逆に速いくらいのテンポ設定。このテンポでナチュラル・トランペットをあれだけ吹くのは相当大変なのではないかと思った。心の高揚が「神の栄光」を讃える音楽を実現している証拠だろう。
後半,ロ短調の核心(と私は思っている)クレドは,バッハ特有のゾクゾクするような響きや,ダイナミクスやテンポの対比など,この深い音楽の意味を実現する音づくりがされていると感じた。サンクトゥスやオサンナの輝かしい合唱とベネディクトゥスの静謐な雰囲気の対照も素晴らしい。アニュス・デイからドナ・ノビス・パチェムへのつなぎは,音が消えていったところから低音が立ち上がってくる雰囲気が素晴らしい。ただ,演奏はよかったのだが,ここで会場がざわついたのが残念だった。曲を知らない人が多いのだろうか。(ここへの思い入れは単なる私の思い込みで,そんなに気合いを入れて集中する場面ではないのか?)。

ソリストはさすがに安定した歌唱。アルトは声の重さとヴィブラートのかけ方が若干他と異なるように感じられたが,違和感があるというほどではなかった。合唱も考え尽くされた人数により,効果的な響きだったと思う。
器楽も統一された音づくりで声と一体化し,古い形式による音楽であることを十分認識させるものだった。また,クォニアムでのコルノ・ダ・カッチャは見事だった。弱音での繊細さは感動もの。トランペットとティンパニは古楽器なので,やはり弦とうまくブレンドする。この響きが本来意図されたものだということだろう。モダン楽器による演奏ではこの音色の実現はまず不可能だろうから,響きのイメージを理解した上で古楽器的なアプローチの意味をどこに見出すかということが重要だと思う。

終了後は塔でCDをチェックしてから,久しぶりにkaorina。と二人で軽く飲み食いして帰る。たまにはこういうのもいいもんです。

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June 25, 2005

バッハ・コレギウム・ジャパン定期演奏会

久しぶりに演奏会を聴きに行く。といっても,前回に引き続きまたまたBCJ。

バッハ・コレギウム・ジャパン第69回定期演奏会
2005年6月24日(金)19:00
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル
ライプツィヒ時代1725年のカンタータ3
・スウェーリンク(?) なんと美しいことでしょう,暁の星が照り輝くのは
・バッハ カンタータ126番「我らを保たせたまえ,主よ,あなたの御言葉のもとに」
・バッハ カンタータ127番「主イエス・キリスト,真の人にして神」
・ブクステフーデ なんと美しいことでしょう,暁の星が照り輝くのは BuxWV223
・バッハ カンタータ1番「なんと美しいことでしょう,暁の星が照り輝くのは」
鈴木雅明(指揮)
キャロリン・サンプソン(ソプラノ)
山下牧子(アルト)
ゲルト・テュルク(テノール)
ペーター・コーイ(バス)
今井奈緒子(オルガン)
バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱&管弦楽)

今回のプログラムはコラール・カンタータ年巻の最後となるもの。
今回は東京なので,2曲のオルガン演奏も聴けた。やはりオルガンの音色はいい。西洋の人たちはこういう音を普通に聴いているのだなあ。うらやましい。2階席だったので,見上げることなく聴けたのは良かった。
126番の冒頭はトランペットが入る。トランペット入りの場合祝典的な曲が多いのだが,珍しく短調でとても厳しいイメージ。「我らを保たせたまえ」の決意のようなものを表現しているのだろうか。ナチュラルトランペットの音色が全体と溶け合って,とてもいい響きだった。第4曲のバスのアリアはペーター・コーイ氏の力強い声が良かった。「奈落に突き落とせ」の表現はやはりこうでなくては。少々低音部が埋もれてしまった感はあったが,ステージから遠い席だったせいかもしれない。
実質コラール・カンタータ最後となる127番は直後の聖週間との関わりが強く,受難コラールが使われていることや,後年のマタイ受難曲との類似点など,鈴木氏のプレトークを頭に置いて聴いた。初めて聴く曲だったが,冒頭曲の長調と短調が入れ替わる(というより自在に行き来する)感じは面白い。修行不足なため,受難コラールを聴き取ることはできなかったのは残念だった。印象的だったのは第3曲ソプラノのアリア。低弦のピツィカートが特徴的なのだが,ダ・カーポ直前にのみヴァイオリンとヴィオラが参加する。しかも間隔はそれまでの半分。これはテキスト「死の鐘」を表しているようだ。続くバス・ソロのレチタティーヴォとアリアは,マタイでイエスが息を引き取った直後のような雰囲気。低弦の下降音型が特徴的な弦楽器の激しい刻みの部分と,ゆったりとした歌唱の部分。鈴木氏の解説では,このあたりがマタイの芽だということだった。いずれにしても低弦の下降音型が稲妻を表すのは間違いないだろう。
1番ではオーボエ・ダ・カッチャの渋くくすんだ音色を聴くことができた。冒頭曲の2本のヴァイオリンによるかけ合いも素晴らしい。普段聴いているリヒター盤と違い,ヴァイオリンの入りなど,いかにも古楽器的な表現がとても心地よかった。最後のコラールはホルンの響きがなんとも素晴らしく,合唱と器楽との溶け合った「アーメン」は感動的だった。アンコールに再びこのコラールを演奏するサービス付き。

それにしても今回のソリスト陣は良かった。特にソプラノのサンプソンさんは初登場のようだが,まっすぐでよく伸びる声がカンタータにはとても合っているように思った。テノールのテュルク氏とコーイ氏は当然の安定した歌唱。(アルト・ソロは126番のレチタティーヴォのみの出番。)席のせいか,若干バスの低音が聞こえずらかったのが残念だったが。
ホールの響きも良く,こういう響きでカンタータの演奏を聴けるのはとても幸せなことだと思った。また聴きに行くぞー。

おまけ:こういう演奏会だと知人には絶対会わないだろうと油断していたら,ダスビのT氏(Fg)に会った。油断していただけではないのだが,失礼なことにすぐにわからなかった。どうもすみませんでした。ついでに某団体のお誘いも受けた。弾けたらいいなぁ。

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February 26, 2005

バッハ・コレギウム・ジャパン佐倉公演

練習のない週末を利用してBCJを聴きに行く。

バッハ・コレギウム・ジャパン佐倉公演
2005年2月26日(土)18:00 佐倉市民音楽ホール
J.S.バッハ:教会カンタータの夕べ
・カンタータ123番「最愛のイマヌエル,敬虔なる者の君主よ」
・カンタータ124番「私のイエスを離さない」
・カンタータ125番「平安と喜びをもって,私は逝こう」
・カンタータ111番「我が神のみこころが,常に成就しますように」
鈴木雅明(指揮)
野々下由香里(ソプラノ)
上杉清仁(カウンターテナー)
アンドレアス・ヴェラー(テノール)
ペーター・コーイ(バス)
バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱&管弦楽)

なかなかこういう機会はないのだが,通常より低価格でチケットが出ていたので購入。内容は東京や神戸でのカンタータ全曲シリーズVol.41とほぼ同一(オルガン独奏がない)。これはお得だ。私の最近のお気に入りである125番も演奏するし。
カウンターテナーのロビン・ブレイズがインフルエンザにより急遽ソリスト変更。生ロビン・ブレイズを聴いてみたかったので少々残念。野々下さんと上杉さんが代役を務めており,ちょっと大変そうなところもあったが健闘していた。
なんにしてもバッハのカンタータを生で聴ける機会はそうそうないので,満足だった。

このホールは10年ぶりくらいなのだが,こんなに響かなかったっけ?という印象。もう少し会場が音で充たされる感じのほうがいいと思ったが,これはこれで各パートの音がよく聞こえてよかったかも。教会なんかだと相当残響があるだろうから,かなりイメージが違うと思う。
123番を除きけっこう聞き慣れているのでいろいろ楽しめた。特に111番は我が家にはリヒターの録音しかないので,それと比較してかなり速いテンポで演奏されたのが新鮮だった。古楽器団体はこういう解釈が多いので,予想されたところではあるが。
125番のテノールとバスのデュエットもよかった。2本のヴァイオリンと通奏低音をバックにソリストが歌うスタイルは51番のコラールと似た雰囲気で,私はこういう響きが大好きだ。実力のあるソリストの歌唱で,しかも生で聴けたのは本当に幸せなことだ。
ホルンがソプラノと重なることや,通奏低音のチェロとオルガンが重なることはとても効果的だと思った。これも音程がぴったりしているうえ,音色が溶け合っているからこそ気づかせてもらえることで,さすがだと思った。
開演直後の鈴木雅明氏の簡単な解説もよかった。私のような不勉強な者でも,コラール・カンタータについてなるほど,と納得した。ちゃんと本でも読んでいればまったく問題のない知識なのだろうが。

どうでもいいことだが,ペーター・コーイ氏は譜面に黒いカバーをつけていなかった。他の人は皆つけていたのだが,これはポリシーなんだろうか?皆黒い譜面を持っている中,一人だけ白い表紙やオレンジ色の表紙の譜面を持っていたのが謎だ。

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February 01, 2005

今日のCD(1/31)

「今日の通勤CD」を楽しみにしているみなさまこんにちは。といってもそんな人が何人いるかわかりませんが,「この記事があると,『ちゃんと通勤できてるんだな』と安心する。」と言われたことがあるので,特にその人あてに書いておくと,月曜日は仕事に行っておりません(金曜日も)。kaorina。のブログの記事を見ていただければわかりますが,このところkaorina。が鬱なので仕事を休んで犬吠埼に連れて行ったのです。ちなみに水曜は会議,木曜は講師に行ったので,普段と通勤パターンが違ったため記事はなしでした。
というわけで,往復で聴いた以下のCDもkaorina。の選んだものですが,ちょっとだけコメント。

1.コープランド・市民のためのファンファーレ,ロデオ,ビリー・ザ・キッド,アパラチアの春/ガンゼンハウザー/チェコスロヴァキア放送響(NAXOS 8.550282)
ロデオはなんだかぬるい演奏で,しかもちょっと下手。あまりアメリカっぽくないし,音程外しまくってる。先日同じNAXOSから出た,ロシアのオケが演奏したシンフォニア・タプカーラを試聴して「これはタプカーラじゃないぞ」と思ったが,このロデオをアメリカ人が聴いたら「これはロデオじゃないぞ」と思うんじゃないか。いや,アメリカ人じゃなくてもそう思うかもしれない。いくらなんでもちょっと出来が悪い気がする。2,000円のSACD出してる場合じゃないぞ,がんばれNAXOS。

2.ブルックナー・交響曲3番/クナッパーツブッシュ/ウィーン・フィル(ALTUS ALT071)
最初の拍手が止んだか止まないかのうちに演奏が始まるのがクナらしい。さすがに盛り上がりのもって行き方はすごい。「ブルックナーの音楽は巨大な建築物」というような表現があるが,こういう演奏がそんな表現を生み出すのだろう。終楽章のコーダなんかは,この曲はものすごい名曲なんじゃないかと思うような演奏だ。この演奏はノヴァーク版第3稿のようだから,改訂時期を考えればこれは気のせいではなく,本当に名曲なのだろう。

3.シューマン・交響曲1番「春」,3番「ライン」/シャイー/ウィーン響/デ・ブルゴス/トリノ放送響(LIVE CLASSIC LCB127)
ちょっと前に記事を書いたので省略。

4.ラフマニノフ・交響曲2番,スケルツォニ短調,ヴォカリーズ/ヤンソンス/サンクト・ペテルブルク・フィル(EMI TOCE-8432)
千葉フィルで演奏したときkaorina。が買ったらしい。私がそのとき買ったのはカットがすごい演奏(オーマンディ/フィラデルフィア管)で,曲の勉強にあまり役立たなかったが,この盤はちゃんとカットなしで演奏している(当たり前か)。私はラフマニノフにはあまり興味がないのでBGM状態。ヴォカリーズは人気曲だけあっていい曲だと思う。ラフマニノフの美質みたいなものがほとんど入っていると思うので,私などはこれだけ聴けばもうお腹いっぱいだ。

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