久しぶりに演奏会を聴きに行く。といっても,前回に引き続きまたまたBCJ。
バッハ・コレギウム・ジャパン第69回定期演奏会
2005年6月24日(金)19:00
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル
ライプツィヒ時代1725年のカンタータ3
・スウェーリンク(?) なんと美しいことでしょう,暁の星が照り輝くのは
・バッハ カンタータ126番「我らを保たせたまえ,主よ,あなたの御言葉のもとに」
・バッハ カンタータ127番「主イエス・キリスト,真の人にして神」
・ブクステフーデ なんと美しいことでしょう,暁の星が照り輝くのは BuxWV223
・バッハ カンタータ1番「なんと美しいことでしょう,暁の星が照り輝くのは」
鈴木雅明(指揮)
キャロリン・サンプソン(ソプラノ)
山下牧子(アルト)
ゲルト・テュルク(テノール)
ペーター・コーイ(バス)
今井奈緒子(オルガン)
バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱&管弦楽)
今回のプログラムはコラール・カンタータ年巻の最後となるもの。
今回は東京なので,2曲のオルガン演奏も聴けた。やはりオルガンの音色はいい。西洋の人たちはこういう音を普通に聴いているのだなあ。うらやましい。2階席だったので,見上げることなく聴けたのは良かった。
126番の冒頭はトランペットが入る。トランペット入りの場合祝典的な曲が多いのだが,珍しく短調でとても厳しいイメージ。「我らを保たせたまえ」の決意のようなものを表現しているのだろうか。ナチュラルトランペットの音色が全体と溶け合って,とてもいい響きだった。第4曲のバスのアリアはペーター・コーイ氏の力強い声が良かった。「奈落に突き落とせ」の表現はやはりこうでなくては。少々低音部が埋もれてしまった感はあったが,ステージから遠い席だったせいかもしれない。
実質コラール・カンタータ最後となる127番は直後の聖週間との関わりが強く,受難コラールが使われていることや,後年のマタイ受難曲との類似点など,鈴木氏のプレトークを頭に置いて聴いた。初めて聴く曲だったが,冒頭曲の長調と短調が入れ替わる(というより自在に行き来する)感じは面白い。修行不足なため,受難コラールを聴き取ることはできなかったのは残念だった。印象的だったのは第3曲ソプラノのアリア。低弦のピツィカートが特徴的なのだが,ダ・カーポ直前にのみヴァイオリンとヴィオラが参加する。しかも間隔はそれまでの半分。これはテキスト「死の鐘」を表しているようだ。続くバス・ソロのレチタティーヴォとアリアは,マタイでイエスが息を引き取った直後のような雰囲気。低弦の下降音型が特徴的な弦楽器の激しい刻みの部分と,ゆったりとした歌唱の部分。鈴木氏の解説では,このあたりがマタイの芽だということだった。いずれにしても低弦の下降音型が稲妻を表すのは間違いないだろう。
1番ではオーボエ・ダ・カッチャの渋くくすんだ音色を聴くことができた。冒頭曲の2本のヴァイオリンによるかけ合いも素晴らしい。普段聴いているリヒター盤と違い,ヴァイオリンの入りなど,いかにも古楽器的な表現がとても心地よかった。最後のコラールはホルンの響きがなんとも素晴らしく,合唱と器楽との溶け合った「アーメン」は感動的だった。アンコールに再びこのコラールを演奏するサービス付き。
それにしても今回のソリスト陣は良かった。特にソプラノのサンプソンさんは初登場のようだが,まっすぐでよく伸びる声がカンタータにはとても合っているように思った。テノールのテュルク氏とコーイ氏は当然の安定した歌唱。(アルト・ソロは126番のレチタティーヴォのみの出番。)席のせいか,若干バスの低音が聞こえずらかったのが残念だったが。
ホールの響きも良く,こういう響きでカンタータの演奏を聴けるのはとても幸せなことだと思った。また聴きに行くぞー。
おまけ:こういう演奏会だと知人には絶対会わないだろうと油断していたら,ダスビのT氏(Fg)に会った。油断していただけではないのだが,失礼なことにすぐにわからなかった。どうもすみませんでした。ついでに某団体のお誘いも受けた。弾けたらいいなぁ。
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