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August 08, 2004

クマゼミ

数日前のことだが,朝なんとなく外を眺めていたらクマゼミの鳴き声が聞こえてきた。耳を疑ったが,確かにクマゼミだったと思う。最近異常に暑い日が続いているので,クマゼミの生息域が北に広がったのだろうかと思って調べてみると,クマゼミの生息域北限は関東地方らしい。ただ,東京で鳴き声を聞くことはまれ,とある。とても貴重な体験をしたということだろう。これをきっかけにいいことがあれば良いのだが。
クマゼミといえば,子供の頃福岡の親戚を訪ねた折りに初めて目にした。公園でクマゼミ捕獲に必死になり,確か一匹捕まえて持ち帰ったのだったと思う。当然すぐ死んでしまったが。
そうそう,今週末は御前崎に行ったのだが,そこではクマゼミの鳴き声が当たり前に聞こえていた。姿を見ることはできなかったので残念だったが。

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 「あれ、クマゼミが鳴いているね」             
 確かに、いままで家にいて聞いたことのないセミの鳴き声である。
 「まあちゃん、聞こえないかい」              
 「聞こえるよ」                      
 息子にも聞こえていたようである。             
 わたしは熱の照り返す縁側に出て、雑木林の方に耳を傾けた。 
 アブラ蝉の鳴き声の大合唱のなかを、微かにくぐり抜けてくるク
マゼミの声は一匹のようだ。                 
 地元産の蝉とはちがう独特の鳴き声ではっきりと識別できる。 
 シャーシャー、シーと聞こえる。              
アブラ蝉の陣地に、一匹狼ならぬ一匹クマゼミの挑戦であるから、
さぞかし勇気のいることであろう。              
 この地方都市に住んで四十八年になる今年の夏、初めて自宅隣の
保存林でクマゼミの鳴くのを聞いて感動した。         

 昆虫図鑑によると日本産の蝉のうち最大種で、脱皮して成虫にな
ったばかりの新鮮な個体には金色の燐毛が生えていて大変きれいだ
そうだ。                          
 むかし、石鎚山で採集したような気もするが、はっきりとした記
憶はない。                         
 平地のセンダンやアオギリなどの木に生活の場を得るが、生息分
布が東京以西、だから本来だったら関東中部のこの市にはほとんど
見られないはずだ。                     
 「ことしは異常発生しているんだって」           
そう言う息子からニュースで報道されていたと聞いた。     
 報道によるとこのクマゼミ、今年は九州で異常発生しているそう
である。                          
 発生の末期に雄はかなりの距離を移動するとあるから、おそらく
今日鳴いていた個体もはるばる房総や東京以西のどこからか旅をし
てきたに違いない。                     

 この蝉の鳴き声をはじめて聞いたのは、ちょうど二十歳の時、九
州の熊本へ車で向かう途中、音頭の瀬戸で聞いたのが初めてだった
と思う。                          
 夏、西日本へ行くとアブラ蝉のように、何処でも鳴き騒ぐかのよ
うだ。                           
 この蝉の鳴き声の暑苦しさには閉口する。          
 シャーシャーという鳴き声は、アブラ蝉が集団で鳴くときの和音
よりもかなり騒々しい気もするが、同時にクマゼミの声を聞くと、
西国にやってきたんだなと感慨をあらたにする。        

 わたしは広島の宮島や松山の道後温泉、石槌山でこの鳴き声を頭
の中に記憶として染み込ませた。               
 蝉の鳴き声の合唱は決して忘れられない土地の雰囲気を、そして、
その土地の習俗と香るように美しい風景を、人の心のどこかに植え
つける不思議な魔性を持っている。              
 この蝉は暑い夏、広葉樹林の緑、晴れた天候、青い海と空、乾い
た土、それに土埃り、そういった真夏のイメージである。    
 埼玉では奥武蔵にも沢山の蝉が生息しているが、杉林や桧林の昼
は意外に静かである。                    


"市の保存林、さまざまな蝉が鳴く。"

 太陽が雲に隠れ夕立の気配がすると、にわかにヒグラシが鳴き出
すのである。                        
 ヒグラシの声は澄んでいて、もの悲しく郷愁を誘う。     
 一人で山に登ってヒグラシの大合唱に合おうものなら、激しくも
物悲しい鳴き声で不安に駆られる。そう感じるのは私だけではない
だろう。                          
 それに比してクマゼミの鳴き方はいったって明るく陽気、飾り気
がない。                          

 虫が好きだったから初めて聞いたクマゼミの鳴き声に興味があっ
て、その喧噪さに圧倒され騒々しいと思いながらも、こころ踊った
ものである。                        
 そのときは鳴き声だけで姿は見なかったような気がする。   
 思いだした。                       
 姿を見て、実際に採集したのは、おそらく伊豆であった。   
 いや、息子と補虫網を持って房総に出かけたとき勝浦の山の上で
あったような気もする。                   
 曖昧な記憶だ。                      
 クマゼミの声には、わたしが教員に成り立てで研修に励んだ頃の
こと、そして結婚、妻や子供たちと、魚釣りや虫採りなどで、いつ
も行動をともにしていた家族の思い出が沢山つまっている。   
  (平成七年八月十八日)

Posted by: Daiya | May 29, 2005 at 05:54

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